再登校する意志を失わないために

お母さん 「・・・引きこもりですか?」

新井 「そうですね。確かに引きこもりも怖いんです。でももっと恐ろしいのがあるんです。

それを御理解いただくためには不登校の三段階を知っていただかなくてはなりません。」

完全不登校に至る過程は三段階に分かれます。

①初期
・朝起こしてもなかなか起きず、ときどき遅刻する
・平日の朝に腹痛、頭痛をよく起こす。昼過ぎには痛みは消える。
・トイレに入ったままなかなか出てこない
・元気がなくなり、問いかけにも生返事
・宿題をよく忘れる、勉強に身が入らない
・「今日は休みたい」などと時々言うようになる
・友達づきあいが変わったり、つるまなくなる
・結果、月に1-2度程度休み始める

②中期
・昼夜逆転が始まる、朝起こしても起きなくなる
・平日の朝の腹痛などの症状がひどくなる
・他人との接触を避ける、クラブや習い事なども休みがちになる
・家にいる間はゲームや携帯、ネットばかりしている
・話が通じなくなる、ネガティブな言動が増える
・学校は週に2-3日以上休む

③末期
・完全不登校
・「どうするつもりなんだ」と問い詰めると「わからない」「どうでもいい」としかいわないか、無返事、あるいは錯乱で返す
・別人のように性格や言動が変化している、知性が大きく低下している
・「死にたい」「何のために生きているのかわからない」などという
・無気力がひどくなる
・暴れる

以上はあくまで典型例で、これに合わないケースもあります。

初期段階では特に、医学的原因がない身体の症状が要注意です。身体症状はストレスのシグナルです。

中期段階では、行動と言葉の変化によく注意すべきです。

末期段階に至ると、引きこもりや無気力化が待っています。


新井 「最も恐ろしいのが再登校する気力を完全に失うことです。再登校・復学の意志を完全に失うのは、初期段階から平均して1年前後です。

これはあくまで平均で、1ヶ月で失う子もいれば3年以上保っている子もいます。

一度再登校の意志を完全に失うと、少なくとも私の技術ではもうどうしようもありません。意志や気力というものは物質的な面があり、脳では気力を支配する物質が数種類生産されています。

これが完全にゼロになるともう学校に対しては生産されなくなるようです。死んでしまったも同然です。

加奈子ちゃんは大丈夫かな。」

お母さん 「まだ大丈夫だと思います。」

新井 「本人に再登校する意志があるかどうかをよく確認してくださいね。

もう一つ怖いのが、引きこもりです。引きこもられるとカウンセリング自体できなくなってしまいます。

また、引きこもり経験のある子は、引きこもりではなくなってもカウンセリングをかなり嫌うようです。」

お母さん 「それは加奈子にもあるかもしれませんね。」

新井 「いずれにしても、そんな状態になる前に、親が早く解決に動かなくてはならないんです。」

お母さん 「先生、その意志を失わないようにすることはできるんでしょうか。」

新井 「できます。まず、周囲の人が誠実であることです。それと、学校の友人とつながり続けることです。これは子供だけではもちろんできません。大人が努力しなければいけません。」

→Part8. 親の原因と責任とは?へ続く


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