親に責任はあるのか?

新井 「親は原因ではありません。しかし親には責任があります。

ある学校で、こんなことがありました。あるクラブの顧問が子供を怒鳴り散らす男の先生でした。実績もある有能な人だったのですが、一方で暴言によってかなり被害にあっている子供もいました。
 
ある時、勝手な理由で気に入らないクラブの子供を怒鳴り、その子の親や関わりの無い他人まで他の子供たちの前で侮辱し、子供は泣いて家に帰りました。父親は直ぐに行動し、その先生と校長に話し合いました。

クラブの保護者会は顧問擁護の声が多かったといいます。先生は自分を正当化するばかり、逃げ続けましたが校長は応じ、部の顧問解任で父親はホコを収めました。

これが子供を守る親の行動です。校長も立派です。その後子供はちゃんと学校へ行き続けています。

親は知ってるんですよね。ストレスを与えた人物が誰なのかを。忘れているだけ。」

お母さん 「ですね。私も知ってました。」

新井 「カウンセリング中、『ああ、Aちゃんは評判悪い子でしたね。そういえばあんたあの時Aちゃんと◯◯パークに遊びに行ったとき...』などと子供を遮ってしゃべりまくるママさんもいます。

 "ちょっと待ってお母さん、私との最初の電話相談で『そういうストレスはちょっと思い当たりません。娘から聞いたことありません』っていってたんじゃないの?"

と私は突っ込みたくなりますよ(笑)。」

お母さん 「(う、たしかに...娘をいじめた子は評判悪かった...)」

新井 「ほとんどの親は子供がどういうストレスを受けたのかを聞いたことがありますよ。子供から直接、ママさんネットワークや近所づきあいから間接的に、あるいは別のルートから。

しかし子供がいじめを受けていることを知りながら何の手も打たない親が多すぎます。「自分の力で乗り越えて欲しい」「手を出すと余計ひどくなる」などと逃げます。

甘いです。

乗り越える乗り越えないの次元の問題ではないんです。相手は記憶なのです。

みな、子供の身体の傷はすぐ治そうとするのに、心の傷はほったらかしです。後者のほうがよほど恐ろしいのに。

子供たちは別に怠けようと思って悪い状態になるのではありません。自動的にこうなってしまうのです。逆に問題が見られるようなら、何かで傷つけられたのではないかと疑い、早急に動くべきです。

不登校が始まってから子供が口をきいてくれなくなった、という親御さんがいらっしゃいます。それは、子供に問題が出たときに、その原因を理解せず、甘えだとか怠けだなどと子供を攻撃してしまったケースが多いようです(すべてではない)。

したがって、『保護者ならば先に私を苦しめている原因から保護すべきなのに、この人はまったく理解せず攻撃ばかりしてくる。この人は保護者じゃない。何を話してもムダだ。』と、子供は判断するのでしょう。

要らぬところで過保護過干渉なのに、本当に必要な助けは指一本差し伸べない。そんな親が実際いることを私は知っています。こんな親になってはならない。

私がこれまで関わったケースで、親に原因があることが明確だったのは次の2つです。

1. 父親が息子を虐待していた

2. 母親が始終ヒステリックに子供のできないこと・不得手なこと・眼につくところを責め立てていた

逆にいうと、これぐらいのことをやらないと親は不登校の原因にはならないということです。
原因と責任を区別して下さい。親には次の二つの責任があります。

・子供が対人関係のストレスを受けていることを知ったなら保護策を講じる責任

・不登校の初期段階で解決に動く責任

初期に親が解決に動くと、早期に問題が解決しやすいと思います。つまり親は不登校解決の力になれる、ということです。

お母さん 「先生、私も力になれるでしょうか。」

新井 「私が言いたいのは、親を責めることじゃないんです。リスクを見据えること、保護者としての責任を果たそうということです。

子供は口には出しませんが、親が自分のために動いてくれるのを待っています。

子供は、親が責任を果たしてくれることを望んでいます。」




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