005 自殺願望と線維筋痛症 女子高校生 UMちゃん

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(左より新井、UMちゃん)


自殺願望と線維筋痛症 高校1年生女子 UMさん

【電話相談】
UMちゃんは中高一貫の女子校に在籍しています。
お母さんからのお電話は高1の4月。UMちゃんは、その前年の11月中旬から節々の痛みを訴えました。
頭痛もあり、痛みが酷くなるとペンが持てないほどに。体中にガラスの破片を埋め込んだような痛みに苦しめられました。
新井「ガラスの破片...たしかその症状ってナントカ線維症とか...」
お母さん「線維筋痛症です。」

以下、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
――――――――――
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、全身に激しい痛みが生じる病気である。 英語ではFibromyalgiaもしくは Fibromyalgia Syndromeと呼ばれている。略語はFMS(FibroMyalgia Syndrome)が使われることが多い。
原因は不明であり、通常の医師が行なう血液検査では異常が現れない。CTスキャン、MRIを検査しても異常がなく、この病気が診断できる特別な検査は今の所なく、治療法も確立されていない。
男性より女性が7倍と多く、中高年に発生率が高いと言われている。しばしば膠原病などの自己免疫疾患と併発する。
――――――――――
引用ここまで

有名な女性アナウンサーが、この病気を苦に自殺したといわれています。

UMちゃんは病院で診断を受けますが、やはり検査では線維筋痛症とは診断されず。頭痛はMRIでも検査したが異常なし。リューマチも疑いましたがこれも異常なし

UMちゃんは治療に専念するために休学しました。そして鍼治療を行い、痛みは大部良くなりましたが、学校へ行けなくなりました。「学校が怖い、私が悪い、死にたい、etc...」

精神科で出されたクスリは強く、また医師の対応に不満があり通院をやめました。そしてスクールカウンセリングに通い始めましたが、学校はやめるかどうか迷っているところです。
ここまで聴いて大体わかりました。

新井「お母さん、私には線維筋痛症なんて単なる表面的な症状にしか見えないんです。学校へ行けなくするための単なるオトリ。シグナルでもあります」

お母さん「はあ、どういうことでしょうか...」

新井「鍼治療は大したもんです。でも原因を解決していない。根本原因があるはず。精神科医も鍼の先生も、痛みと精神不安定を引き起こした根本原因を見ていない。だから痛みは良くなっても学校へ行けない。根本原因を解決しない限り、学校へは行けないと思いますよ」

原因→プロセス→結果
医師たちは懸命に神経の異常変化を調べていますが、ムダです。
痛覚神経のニューロンがどうのこうのなんて単なるプロセスです。
痛みは単なる結果です。
このプロセスに入力され、結果を引き起こす原因があるはずです。
痛覚神経の異常が原因ではないのです。
何がその異常を引き起こすのか、そこに気づかなければダメです。
結果をいじっても、プロセスをいじっても良くなるハズがない。
なぜなら、原因を解決していないから。これにみんな気づいていない。
痛覚神経の異常のみを静めようという試みは、全て失敗するはずです。
こういうパターンの不登校は多くあります。
なんだかよくわからない病気で学校を休む。良くなったら再登校...せずにずっと家にいる。精神的にどんどん不安定になってゆく。登校する気力がだんだんなくなってくる...
あなたはUMちゃんに埋め込まれた悪魔のガラス片が見えますか?☆

私はお母さんに尋ねました。すると、やはり出てきました。しかしお母さんの情報量は少ない。これ以上は本人でないとわからない、とおっしゃいます。ならば、ということで本人の了解を得てカウンセリングを行うこととなりました。

自殺願望に線維筋痛症に精神不安定か。これもいい強敵です。腕がなる。

【1回目カウンセリング】
はるばる遠くからUMちゃんとご両親・妹さんが一家総出でいわきまでお越し下さいました。

UMちゃんの顔色は優れません。かわいい顔なのに目の下にクマがあります。
彼女は「学校に行けない。行こうとすると足、お腹、頭が痛くなります」と言います。実はまだ痛いところだらけでした。なんだ、良くなってないじゃないか。

挨拶もそこそこに、不登校の経緯を聴きます。

痛みが中3の11月に始まり、中間テストの後に文化祭と修学旅行があったので疲れていたのかな、と自分では思っていたけど、それにしては治らないし、鍼も一時的な効果しかありませんでした。

それから吐いたり膝から下が痛くなったり、通学途中で気持ち悪くなって帰ってきたり。朝起きたら「行きたくない」と思うようになって、腹痛と頭痛に。

ここからストレスを与えた人物を聴き出します。そして驚きのストレス履歴が明らかになります。

聴き出した順番に記します。まずは中3から。

お母さんの話にも出てきた、中3の担任の女のNG先生。科目は英語。UMちゃんの学校では中3から高校の勉強が始まり、UMちゃんは朝3時4時起きして頑張っていたのですが、NG先生は「やってる割には成績上がらないよね。本当にやってるの?」。テストの点が悪い子を呼び出して叱ったり、提出物を出さないと家まで電話をかけてきます。校則にも厳しく、スカートが短いと「直せ」、リボンが曲がっていると「直せ」、ボタンも「ちゃんととめろ」。

生物の女のMO先生。UMちゃんが質問したときに「こんな問題もわからないの?」。他の子が質問するとちゃんと教えてくれます。質問を拒否されたのはおそらくUMちゃんだけ。しかもワケもわからず何もしていないのに叩いてきます。背中をかなり強く、1-2回叩かれたそうです。叩くのは他の子にも行っていたようです。

数学の男のTK先生。テストの点が悪いとイライラして「90点以上が普通、100点は当たり前だ!」。再試はしないと言ったのに平均点が低いと再試を何度も行ったり。

学年主任の国語の女のMS先生。醸し出すオーラがイヤ。頭のいい子しか自分のクラスに入れず、ある1人の子だけ標的にして立たせたりその子の電子辞書を投げたり。でも周りは見ていることしかできません。

校長先生。毎朝先生に「東大2ケタ目指せ!」とゲキを飛ばしています。元々進学校ではなかったのですが、この先生が偏差値を上げてきました。

ここから高校です。

生物の男のTR先生。最初の授業しか受けていないが、この先生のせいで学校へ行けなくなりました。最初の授業で生徒が騒いでいるときに教壇を教科書で叩いて怒鳴り散らしました。しかもシーンとなって誰もしゃべっていないのに「しゃべったヤツは出て行け!」。

数学の女のKD先生。中1中2の時にも数学担当で、UMちゃんいわく「元ヤン、目つきが怖い、ヤバイ」。提出物を一つでも忘れると「なんでなの!」と30分コース開始。2回提出を忘れた子には「ダマしたのね!」。すごく怖いといいます。テスト問題をいつも難しくして、わからないと「なんでわからないの?」

社会の男のTD先生。板書が何を書いているのかわかりません。塾講師もしているが授業中にその話ばかりします。歩き方がおかしい。

国語の女のSG先生。性格がねちっこく、この先生が傍に立っていることに気づかずにUMちゃんが話をしていると「なんで挨拶しないの?」といい、挨拶するとニコニコ。ところがそれ以降挨拶してもムシです。スカートが短いと「何年何組何番の誰?」と警察みたいなことを言います。

古典の女のHY先生。怒鳴ったりはしないのですが声が異常にうるさく、隣のクラスまで丸聞こえの頭が痛くなるような大声で授業をします。

数学の男のKB先生。性格が厳しく、KD先生と似ています。バレー部の顧問なのですが、UMちゃんの友達のバレー部の部員が日誌を出すのを忘れたら、昼休み40分間、泣くまでずっと説教

英語の男のMD先生。以前いた別の学校で女生徒にわいせつ行為をしたらしく、高校で教えてはいけないことになっていたのが、MS先生と結託して高校で教えてもよいことに。この学校でもターゲットを定めた、というウワサがありアブナイ雰囲気を感じます。お母さんも「保護者会でものすごく近づいて話しかけてくるんです」とイヤそうな顔をなさいました。

化学のSZ先生。生徒に対して「うるせえ」と怒鳴ります。MS先生に歯向かって中学に落とされました。

体育の男の先生。名前は忘れました。ちょっとしたことでもすぐ怒ります。4列縦隊がちょっとズレても怒ります。チームでやることがちょっとでもやり方が違うと「やり直し、話聞いてないだろ!」。UMちゃんも何度も怒られました。

先生はここまで。UMちゃんに直接被害を与えていない先生を除いてもすごい数です。この学校は誰でも知っているお嬢様学校なのですが、中身は...。
 
次はクラブです。UMちゃんはバドミントン部でしたが、人間関係が悪くやめてしまいました。いじめっ子タイプが集まっており、人の悪口ばかり言い合って、分裂を繰り返していました。UMちゃんは直接悪口は言われなかったそうですが、おそらく裏で陰口を叩かれていたと思われます。その後UMちゃんは科学部に移りました。
直接の被害は受けていないということで、ここはスルー。*)

次は生徒です。

まずはSTさん
中学の時には、帰国生のATさんと朝仲良く一緒に通っていました。そこに、ATさんの友達のSTさんが加わって中2の1学期から3人で登校するようになりました。
このSTさん、他人の悪口が多く、「この人バカじゃん」などと平気で言います。UMさんは数学が苦手なのですが、中3の時数学のテストをSTさんに見られ、「そんなのもできないの?」と言われました。それから、朝の電車を1本ずらすように。
また同じく中3で漢検の準2級のテストに落ちたのですが、それをSTさんに見られるのを恐れ、不合格通知を見もせずに破り捨てました。周囲は簡単だと言っていただけにかなり悔しかったようです。

中1のKSさん。最初は仲が良かったけど、他の子と仲良くすると「なんで仲良くするの」とストーカーのように。たとえば前の席にKSさん、その後ろにUMちゃんが座っていると1時間に何度も後ろを振り返り、「後ろにお化けがいる」。
UMちゃんのものを盗んだこともありました。中1後半から中2前半にかけてしつこくつきまとわれ、耐え切れずに先生に相談、今は離れています。

中2のSHさん。この子もUMちゃんにどこまでもくっついてくる子です。

中3のクラスはアニメオタクが多く、周りのアニメの話に合わせないとついていけず、NG先生もテンションが高く雰囲気が合わなかったといいます。
高校のクラスはAKB48のファンが多く、UMちゃんはそれも知らず話について行くのが難しいところがありました。
まだまだ彼女のストレス履歴は続きます。

今のクラスにはMMちゃんという他に友達のいない子がいて、彼女もまた軽いストーカーでした。朝教室に入った途端UMちゃんにくっついてきます。MMちゃんは周りから嫌われ、彼女と一緒にいると他の子は寄ってきません。

MRちゃん。MS先生に歯向かって電子辞書を投げられた子です。MS先生のことが嫌いで対立、ついに「出て行け」と公立高校へ転校させられました。自己主張が激しく中1からみんなに嫌われていじめられていました。机の上に砂を撒かれて犯人探しを行ったこともあります。
MRちゃんと話していると白い目でみんなから見られ、「こういう眼で人から見られているんだ」というのが理解できた、とUMちゃんは言います。みんなが悪く言うのでUMちゃんは友達になりたかったけどなれませんでした。
悪い人ではなく、優しいところがあって家庭科の宿題を一緒にしてくれたりもしました。UMちゃんには優しく、先生のいうことは聞かないのにUMちゃんのいうことは聞きます。
家庭の事情が複雑で、リストカットしていました。転校のお別れパーティーをUMちゃんとMMちゃんともう一人でしてあげました。

RIちゃん。バドミントン部で中1の時隣の席でした。人の悪口、自分の自慢ばかり。中1の夏合宿が終わった頃UMちゃんを邪魔者扱いし「部をやめなよ」と言い、カチンときたUMちゃんはバドミントン部をやめました。

いや~スゴイ。ノート8ページ分になりました。同席のご両親は唖然。

新井「なんで身体が痛くなったかわかった?痛くなって当たり前だよな」
UMちゃん「はい」
新井「こんなにストレスを受けたら身体に異変が起きて当然、不登校になって当然ですよね」
ご両親「はい」

ここでUMちゃんは「先生と2人で話したい」といい、家族は席を外してもらうことに。子供が家族に「席を外して」というときは私も緊張度が一段上がります。

ついには家族が登場しました。

父方の祖母
北陸に住んでいます。UMちゃんが学校へ行けなくなった時に電話をかけてきて、こう言いました。
「なんで行けないの、お父さんがうつみたいになって電話をかけてきたのよ。うつになってお父さんが会社に行けなくなったらあなたも困るのよ。毎朝ちゃんと行くのよ、遅刻も早退もダメ、毎日確認するから」。
これを聞いてUMちゃんは身体が震えたといいます。実際その後毎日チェックが入ることはありませんが、いつも電話がかかってくるんじゃないかと不安になります。

お父さん。厳しい。ビシバシしてきます。ダラダラしていると怒られたり、小学校の授業参観の時にも「なんでこうしなかったんだ、他の子は出来ているのになんでだ?」と説教がずっと続きました。
それがすごくイヤなんです、とUMちゃんは言います。
不登校についても「どうして行かないんだ、自分勝手だ!」と怒りました。何でもおばあちゃんに電話したり。ただ、最近は「なんで行けないの」とは言わなくなりました。

Nクリニックの先生。UMちゃんが「死にたい、殺して」と言い出したので今年1月下旬にクリニックへ。UMちゃん自身は最初は「オタクが多いので学校へ行けない」と思っていたのでそう医師に話したら「気のせいだ、行きなさい」と話を聞かずクスリを出しました。そのクスリ(安定剤)を飲んだら床が斜めに見えました。それでこのクリニックには行かなくなりました。

鍼治療の先生。この先生は「顎関節症と自律神経失調症が原因だ」と言いました。UMちゃんが「オタクが多いからいけない」と言うと、「そんなのはワガママだ」と切って捨てられました。悪い先生ではないのですが無骨な感じだとのこと。

スクールカウンセリングには毎週金曜日に行っていて、1週間の報告を楽しくして、これからどうするか、という話をして終えているそうです。

ここから記憶の除去にとりかかります。ここも細かく書くと凄まじい分量になりますので端折ります。

NG先生から。校則のことで友達をきつく叱っている場面の映像の記憶、「本当にやってんの?成績上がんないわね」と毒突く声の記憶、先生に対する「怖い」という感情、先生の顔の記憶を取り除きました。

次にお父さん。ビシバシに対する「怖い」という感情を取り除いて、1回目のカウンセリングは終了。

【2回目カウンセリング】
1週間後、2回目のカウンセリングです。

まずはおばあちゃん。おばあちゃんからの電話に対する「怖い」という感情、おばあちゃんに対する圧迫感を取り除きました。

次は生物の女のMO先生。背中を叩かれた時の痛覚の記憶がわずかに残っており、それを取り除きました。

数学の男のTK先生。この先生に対する「腹が立つ」という感情、先生のセリフの音声、顔の記憶を取り除きました。

学年主任の国語の女のMS先生。MS先生は普段は真っ赤な服とか、ピンクの服を着ていて、暗い服を着ているときは機嫌が悪い時らしいです。黒いオーラを出しているイメージがあるようで、近くに黒いオーラを出しながら立っているとイメージ、そのイヤな感じ映像、MRちゃんとやりあっている場面に対する感情を取り除きました。

校長先生については優しい人、というイメージしか今はありません。実は高校進学前にUMちゃんと面談して色々話し合ったそうです。ですので、「校長がゲキを飛ばしたがために先生が狂ってしまった。もう少し人間関係のストレスに配慮してくれていたらこんなことにはならなかった」と考えてもらい、そのストレスを取りました。

生物の男のTR先生。教科書を叩きつけた動作の映像の記憶とこの先生への恨みを取り除きました。
数学の女のKD先生。思い出しても感情はないため、ストレス感のみ取り除きました。
社会の男のTD先生。何を書いているのかわからない黒板に対するストレス感を取り除きました。
国語の女のSG先生。ほとんど記憶が消えてきたため、ストレス感のみ取り除きました。
古典の女のHY先生。ほとんど記憶が消えてきたため、ストレス感のみ取り除きました。
数学の男のKB先生。無表情で怒るタイプで、この先生に対する怖さを取り除きました。
英語の男のMD先生。顔が気持ち悪いということで、顔の映像の記憶を取り除きました。
化学のSZ先生と体育の男の先生。両者ともストレス感のみ取り除きました。

これで先生関係の記憶と感情を一通り除去。友達関係で一番イヤな人は?と尋ねると、「いない」と述べます。

さらに彼女はムクムクと再登校の意志が湧いてきたようで、「今学校へ行こうと思ったら行けるんじゃないかと思います」という発言まで。ほんとかな、と思いつつ、登校に際しての不安感を確かめると、2つ出てきました。

・勉強についていけるか
・MS先生、TH先生とか理解してくれない先生がいて、同じことになるんじゃないか

この2つの不安も取り除きました。ここでもう一度確認するとやはり「学校へ戻れそう」と。行けるかも知れませんが、しかしまだ生徒関係のストレスは取り除いておらず、痛みのことも考えると慎重にならざるを得ません。

そこで週明けに試しで登校してもらうこととしました。「くれぐれも身体の反応を見ながら慎重にね。ムリならいいから」とUMちゃん、ご両親に伝えて2回目のカウンセリングは終了。

 お父さんはカウンセリング終了後、「UMは前回から良く眠れるようになり、食欲が戻り4kgも太りました(笑)」とお話しになりました。もちろん体重のことはUMちゃんにはナイショです。確かに目の下のクマが薄くなっていました。


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 Dad, Mom, ARAI, and UM-chan. (from left)


子供がストレスになっている記憶を丁寧に取り除いてやると、やはり良い方向に変化します。


【3回目カウンセリング】

6日後、3回目のカウンセリングです。

GWをはさんで昨日登校にチャレンジしたのですが残念、登校はできませんでした。学校の先生友達に対してはさほどのことはなく、自分自身に対して何か罪悪感のようなものがあるため、といいます。

しかもまだ腹痛があります。今回もご家族には席を外していただきます。

罪悪感とは、何か深いものを感じさせます。その罪悪感の正体は何なのか話を良く聴いてゆくと、ご両親のことが出てきます。特にお父さんのことです。

中学受験の時に非常に厳しく親から言われていました。受験をやめようと思ったこともある、と語ります。妹も同じ学校を受験して合格しましたが、妹に対しては何も言いません。"なんでだろう、自分は要らない存在なのか"と思ってしまいます。

お母さんも厳しいのですが、お父さんのほうがより厳しく、授業参観では「あの子は出来ているのにどうしてオマエはできないんだ」と怒られました。

不登校になってからは、「単位制だから取れなかったら退学だ、ムリにでも行きなさい、どうして行けないんだ」と叱られました。しかし行けないUMちゃんは自分に腹を立ててしまいます。

小学生の時から妹と一緒に公文に入ったのですが、妹は優秀で、UMちゃんはダメだったと自分で言います。公文の成績についてもガミガミ言われて、UMちゃんはイヤだイヤだと暴れていたそうです。

その後塾に入りますが勉強について行けずだんだん勉強がイヤになり「イヤだ!」と騒いでいたら、お父さんに「やめればいいじゃん」とまた怒られました。結局塾の先生に引き留められて続け、中学受験、合格。

お母さんが「精神科へ行った方が良いんじゃないか」というほどの暴れっぷり。暴れたときに一度お父さんにタオルで口を塞がれたことがあったそうです。

ここまで聴いて、「自分はいらないんだ」という感情、「やめればいいじゃん」と怒られた時の感情を取り除きました。タオルで口を塞がれた時の映像・音声・感情はありませんでした。

さらにお父さんについて掘り下げてゆきます。妹さんと比べることについて。カウンセリングに同席していた妹さんは後ろで静かに勉強していました。私も見ていて「できる子なんだろうな」という印象があります。しかしUMちゃんは妹と比べられることについてはなんとも思わない、と言います。

ここでさらに出てきました。UMちゃんは小4からいじめられていたのでした。
なんとお父さんは校長先生のところへ乗り込んでくれていました。それでも解決せず、いじめっ子を家に呼び出して話し合ってくれましたがうまくいかず、その子の親から電話で「いじめたような、いじめてないようなと言っている」とほざかれるとお父さんは「もういい」とキレてしまいました。
残念ながらいじめは小6まで続いたといいます。(このお父さんの行動は立派です)

UMちゃんは人から頼られるところがあり、そのためいじめのことはなかなか言えませんでしたが、小6の時に担任の先生に言い、解決してもらったそうです。

さらに中学時代に入ります。中学時代にお父さんが怖かったことについて教えてもらいます。
・中1の授業参観でお父さんから「英語の発音が悪い」とお叱りを受けた
・入学時に宿題が出され、作文でタミフルについて書いて見せたら「こんなんじゃダメだ」と何回も書き直しを喰らった
・入学時の自己紹介の紙に"趣味は特に無し"と書いたら「こんなんじゃ人から話しかけられない」とビッシリ書かされた
・不登校が始まってから「単位制だから行きなさい」  
・UMちゃんのことで両親がケンカした。止められなかった。

これらについてチェックしましたが映像音声の記憶、感情は出てきません。

次に、前回のカウンセリングが終わってから再登校にチャレンジしたもののダメだったことについて尋ねます。「行けなかった朝はどんな感情があったのか?何を思い考えたのか?」

するとUMちゃんの答えは、こうでした。
①行ったらみんなの目線が気になる。「体調が悪いといっているけど本当は違うことをみんなわかっているんじゃないか」と思ってしまう。
②実は来週土曜日に体育祭がある。UMちゃんはいつのまにか何かの責任者になっており、当然準備にも行っていない。先輩とかに何か言われそうな気がする

これらは不安です。予期不安といいます。この予期不を取り除きにかかりましたが、①はその場で不安を感じることができず、②のみ不安を取り除きました。

他に色々チェックしましたが、小4でのいじめを含め映像や音声を思い出せる記憶が全くありませんでした*)。

一応痛みをチェックします。足の痛みは減っており、以前は膝から下がすごく痛かったのですが、今は膝の辺りが少し痛いかな、と言う程度のもの。腹痛ですが、以前は駅で吐くほどだったそうですが、昨日はチクチクする程度ということでした。

今登校はどうかというと、「もう行きます!何があっても行きます!」というやたらと威勢のいい返事が。「学校が怖い、私が悪い、死にたい、etc...」はいつの間にか消失していました。

ここでカウンセリングを終了。

【結末】
 
UMちゃんは翌日また登校にチャレンジ。そして朝私に電話が。
妹さんと一緒に出かけ、通学の電車に乗れました。そこまでは全く問題なし。
ところが、車両に充満する香水の臭いを嗅いで気分が悪くなり、最寄り駅に着き、同じ学校の生徒を見た途端、3回目のカウンセリングで消せなかった不安が突如湧いて出ると、足に激痛が出始めたというのです。

私は電話で学校の保健室へ(行けるなら)行くように伝えました。(実際には途中で帰ったとのこと。)

またお母さんにもメールで色々アドバイスを行いました。根っこは当時の私が取り除ける分は全て取り除いたので、その不安は根を失った花のように枯れてしまうはずです。

翌日、お母さんよりメールを頂きました。

――――――――――
新井様
アドバイスありがとうございます。
お蔭様で、本日、学校に登校し、朝のホームルームと1時間目の授業まで受けてくることができました。

本人としては、午前中の4時間を頑張ってくると家を出、最寄り駅に着いても昨日のようなトラウマもなかったものの、隣の席の子からは、なんで今日来たの?と言われたりと、自分に対するクラス全体の冷たさを感じ、1時間目の終わりぐらいから、急にめまいがし出したそうです。

1時間目が終わった後、保健室へ行きましたが、担任の先生から、今日は大事を取って帰ったほうが良いと言われ、帰宅しました。

(以前、一度心療内科から出された薬を飲んだときと同じ、物が斜めに見える症状だったようで、今回のめまいはひょっとすると、酔い止め薬が効きすぎたのかも知れません。) 帰宅した際、相当疲れきった様子でしたが、出された宿題はやっていました。

いずれにしても高一になってから、まともに登校していないので、クラス全員の名前や顔も知らない中であり、とりあえず今日はクラスの雰囲気が分かったと言ってました。自分に対するクラス全体の冷たさを感じているものの、私たちから見て、本人は、何とかそれらを割り切ろうという感じがしています。

新井さんのアドバイスも本人に伝えてあり、明日も頑張って行ってみると言ってますので、2・3日様子を見ることにします。

また、状況をお伝えしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
――――――――――

【重要ポイント】
・痛みの問題が起きたときに親も医師も裏のストレスを見抜けなかった。それが不登校を引き起こし今のギリギリ登校につながった。
・ストレスの記憶を除去することで、他にはほとんど手をつけずとも意志のある子は再登校できる。
・身体が痛いの死にたいのどうのこうのは表面的な問題に過ぎない。
・再登校後はクラスの人間関係を良好にしなければならない。


*)自己免疫疾患などについては「身体がNOというとき」(ガボール・マテ著)を参照してください。
*)今考えれば、ここもきちんと細かく取り除いておくべきでした。
*)痛恨の極み。幼稚園から小学校の記憶は最重要です。特にいじめは。今思うと、この記憶をもっと徹底的にチェックしておくべきでした。痛みが取り切れなかったのは、このせいかもしれません。

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