パンドラ効果
パンドラ効果とは、私が発見し拙著「不登校セラピー」にて発表しました。簡単に説明すると、以下の通りです。
「不登校が始まると、不登校を直接引き起こした原因ではない、過去のストレスも、不登校を支える要因となる。要は、過去のストレスを詰め込んだパンドラの箱を、不登校が開けてしまう。」
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たとえば、不登校の直接の原因が中2の時のいじめだったとします。
ならば、中2のいじめのトラウマの記憶だけ五感変容すればいいのか?
いいえ、違います。
さらにさかのぼって幼稚園時代から、対人関係のストレスの記憶がないか調べて、あればそれらから五感変容しなくてはなりません。
なぜそのようなことをしなくてはならないのか?
そこに、人間の脳の、記憶に対する不思議な性質が絡んでいるのです。
すべてのストレスの記憶は、脳の中で関連づけられているのです。
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パンドラの箱には、その子供が生きてきたあらゆる負の記憶が詰まっています。家族から受けたストレスも、他人から受けたストレスも、自分がしでかしたことも、あらゆるストレスフルな記憶がそこにはしまい込まれています。
その箱は厳密に言うと不登校が開けるわけではなく、記憶が多すぎて箱に収まり切らなくなって勝手に開くのですが。
人間は当然ですが、無限にストレスに耐えられるわけではありません。
必ず限界があります。
パンドラの箱の大きさは、個人によって異なるストレスの許容量を示しています。
ストレスがたまりすぎて箱からあふれたとき、それが脳にとって危険信号となり、不登校を引き起こします。
さて、箱の中では、一つ一つのストレスの記憶はその「属性や因果関係、古さ」を脳が解析し、すべて関連づけられてゆきます。
関連づけるとは比喩表現ではありません。
実際に脳のニューロンが軸索という手を伸ばし合って、関連する記憶を保持するニューロンと物理的に結合し、電気信号(情報伝達物質)をやりとりするのです。
ここで、学校でのトラウマは他者への恐れという対人恐怖を生みます。同様に、家庭で親から受けたストレスは他者への警戒と抑制という愛着障害の抑制面を生みます。
この対人恐怖と愛着障害の抑制面は、恐怖と警戒(緊張)という違いがあるものの、他者に対する振る舞いという点でほぼ同質であるため、脳はこのほぼ同質の結果を生む原因である2つの属性の記憶、つまり「学校のトラウマ」と、「家庭で親から受けたストレス」を関連づけてしまいます。
この2つが独立し合ったものなら良かったのですが、残念ながら性質において関連づけられるために、箱が開いたときには、本来関係なかったはずの「家庭で親から受けたストレス」も、不登校を支える因子となってしまいます。
たとえば第一因子と第三因子の両方を持つ不登校児の、第一因子のみを除去すると、対人恐怖は良くなるが、第三因子によって今度は他人を警戒するようになる(対人恐怖とは少し違う)極度の緊張症「社交不安障害」が現れ、また自分自身に対する強い抑圧も行うようになり(「自分なんてダメだ」)、登校が不可能になってしまいます。
これが、第三因子がある子は、親からストレスを受けたときには不登校にならないが、学校でストレスを受けて不登校になったときに、(第三因子がない子に比べて)不登校の解決が著しく困難になるメカニズムです。
つまり、パンドラ効果とは、脳のストレスの記憶に対する保存の特殊なメカニズムを表しています。





